博麗神社例大祭7 新刊








ひとのこころのなかには、

決して汚されることのない、

まるで聖域のような、清らかな 、「ひとへの想い」がある。






たいせつなひとを、うっかり傷つけてしまったりしないか、

ひとのこころはいつも、どこかでおびえている。











たいせつなひとを決して傷つけたりしないよう、  
私はいつも、おびえている。  
いっそ動けない人形だったら、ずっと楽だった。  
貴方を傷つけなくても、済んだはずだ。  


どうしてだろう。  


人形よりもずっと、貴方のことを想っている私が、  
人形よりもずっと、貴方のことを傷つけてしまう。  







 







 好きなひとを傷つけてしまったのではないかと思ったとき、
 すべての痛みは、わたしのせいにする。


 喧嘩両成敗、なんていらない。
 わたしのせいに、しておけばいい。そしたら少なくとも、
 傷ついたひとを責めなくてすむでしょう。  


 わたしが、悪い……そう言った方が、ずっと楽だから。















(本文より)

ただ、純粋におしゃべりがしたかった。
純粋に生きていきたかった。



私は、たいせつな友達と一番純粋なこころで付きあっていたい。
何も打算や、嫉妬のない、いちばんきれいなこころで触れつづけて、
あなたのことを友達だと思ってみたい。



それを実現できる方法が、ある。
私は、私にしかできない方法を、ひとつだけ、知っていたんだ。



私は――人形へと、還るのだ。
















2010年3月14日 博麗神社例大祭7
「しばらくは反魂。」 新刊






「ひとが人形になるとき」
こころは、どこにあるのか。
「人形がひとになるとき」
彼女の寂しき想いは、どこへと向かうのか。

いかにしてひとは、「ひとへの想い」を、守っていくのか。
ひとのこころに住む夜叉とは。
そして、聖域のようなやさしさとは。


……東方花映塚で描かれた
メディスン・メランコリーと鈴仙・優曇華院・イナバの出逢い、
鈴仙の生い立ちに秘められた過去を、
時間遡行形式で描き出した東方Project二次創作小説。



書名 鈴蘭が咲いた丘
概要 全年齢 小説本
版型 文庫 208ページ
イラスト 小日向らいち (童話迷宮
頒布価格 会場頒価900円
頒布イベント 2010年3月14日 博麗神社例大祭7
頒布スペース 東4ホール の-47b 「しばらくは反魂。」ブースにて。









ひとには、白い血がながれることがある。
くぐつの人形のように、うれしさ、よろこびも、憎しみも、かなしみも、消える。

――それでわたしはひとり、友達を、ころしてしまったことがある。


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